令和6年の通常国会で審議された離婚後共同親権の導入を含む民法等改正案に関して、今後の運用に重要な質疑と答弁をまとめています。
1. 民法等改正案に係る重要答弁
①DV・虐待被害者支援
●DV被害者保護・支援への姿勢【5/14参厚労・厚労省社会・援護局長・大椿ゆうこ君】
民法の所管省庁であります法務省より、DV被害を受けている場合には、今般の民法改正案に規定されております子の利益のため急迫な事情があるときに該当する旨が示されておりまして、また、急迫な事情があると認められるのは暴力等の直後のみに限られないと考えているとの見解も示されています。
このため、女性相談支援センターにおきましては、DV被害者の立場に立って相談に応じ、その相談内容に基づき、DVから保護することが必要であると判断した場合には、子の利益のため急迫な事情があるときに該当するものとしてためらうことなく必要な支援を行う必要があると考えております。
厚生労働省においては、こうした考え方について、女性相談支援センター等の関係機関に対し研修会等を通じて周知を行い、引き続きDV被害者への支援が適切に行われるよう努めてまいります。
●DV被害者保護への姿勢【5/14参厚労・厚労大臣・大椿ゆうこ君】
今事務方からも答えましたけれども、厚労省として、この関係省庁としっかり連携しながら、この改正案の趣旨を女性相談支援センター等に周知をして、DV被害を受けておられる方などへの必要な支援が確実に行われるように努めたいと考えます。
その上で、この女性支援新法等において、女性相談支援センターというのが、DV被害など困難な問題を抱える方の立場に立って相談に応じるとともに、困難な問題を抱える方及びその同伴する家族の緊急時の安全の確保及び一時保護などを行うこととされておりまして、相談内容から支援が必要と判断した場合には、ためらうことなくこの一時保護等の必要な支援を提供していく必要があると考えます。
●離婚をめぐる葛藤事案の下でこどもが受ける影響【4/25参法務・こども家庭庁長官官房審議官・仁比聡平君】
面前DVに限らないと思いますけれども、子どもに対する虐待になり得るような身体的なあるいは精神的な暴力につきましては、子どもの心身に深い傷を残すということ、さらには、そのお子さんというか子どもが成長した後においても、様々な生きづらさ、こういったものにもつながり得るものであるというふうに考えております。そういう意味では、どのような状況においてもこういったダメージが起こるということは防ぐべきであるというふうに考えておりまして、そういう意味では、離婚前後の親への支援もそうではありますけれども、やっぱり虐待の未然防止、こういう観点からも取組を進めてまいりたいと考えているということでございます。
②DV・虐待と親権
●身体的DVのみならず、精神的DV、経済的DV等でも単独親権となること【4/2衆法務・法務省民事局長・大口善徳君】
本改正案の民法第八百十九条第七項第一号に言う「父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれ」や、第二号に言う「父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれ」とは、具体的な状況に照らし、そのような害悪や暴力等を及ぼす可能性があることを意味しております。
このおそれにつきましては、裁判所において個別の事案ごとに、それを基礎づける方向の事実とそれを否定する方向の事実とが総合的に考慮されて判断されることとなると考えております。なお、当事者の一方がその立証責任を負担するというものではありません。
このおそれの認定につきましては、過去にDVや虐待があったことを裏づけるような客観的な証拠の有無に限らず、諸般の状況を考慮して判断することとなり、いずれにせよ、裁判所が必ず単独親権としなければならないケースはDVや虐待がある場合には限られません。
また、本改正案は、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無のほか、父母間に協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難と認められるときにも、裁判所は必ず単独親権としなければならないこととしており、身体的なDVがある場合だけでなく、精神的DV、経済的DVがある場合や、父母が互いに話し合うことができない状態となり親権の共同行使が困難な場合も、事案によりましてはこの要件に当てはまることがあると考えられます。
他方で、本改正案では、高葛藤であることや合意が調わないことのみをもって一律に単独親権とされるものではありません。裁判所の調停手続においては、父母の葛藤を低下させるための取組も実施されていると承知しており、高葛藤であったり合意が調わない状態にあった父母であっても、調停手続の過程で感情的な対立が解消され、親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定されております。
●モラルハラスメントも精神的DVに当たり得ること【4/2衆法務・法務大臣・本村伸子君】
本改正案では、身体的な暴力に限らず、子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合や、いわゆる精神的DVや経済的DVがある場合等で親権の共同行使が困難なときも裁判所が必ず単独親権としなければならないとしております。
また、親権の単独行使が認められる、子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいいますが、その結果、お尋ねのような場合にもこれに当たる場合がある、モラルハラスメント等ですね。
そしてまた、個別の事案によりますけれども、御指摘のモラルハラスメントについても、いわゆる精神的DVに当たる場合などには、裁判所が単独親権としなければならない場合や親権の単独行使が可能な場合に当たるケースがあると考えております。
●精神的DVについて診断書は必須でないこと【4/2衆法務・法務大臣・本村伸子君】
(本村伸子君 それで、身体的暴力でなく精神的暴力も入るというお答えだったんですけれども、例えば精神的暴力の場合、医師による診断書が必ず必要なのでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。)
本改正案は、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがある場合には、単独親権としなければならないと定めております。
この要件を満たすか否かについては、裁判所において、個別の事案ごとに、それを基礎づける方向の事実とそれを否定する方向の事実とが総合的に考慮されて判断されることになると考えております。そして、その判断においては、医師の診断書のような、過去に精神的な暴力があったことを裏づける客観的な証拠の有無に限らず、諸般の状況が考慮されることになると考えております。
したがって、個別の事案にもよりますが、お尋ねのような場合において医師の診断書が必須であるとは考えておりません。
●目に見えない形態のDVが認定されず共同親権となる懸念【5/16参法務・法務大臣・福島みずほ君】
DVに、目に見えない様々な、精神的なものも含めて様々な形態があるということは非常に重要な指摘であろうと思います。むしろ、目に見えないものの方が多いかもしれないというような、多分、広がりと深さを持った深刻な現象だというふうに思います。
問題は、それを、この法務委員会から発していただいたその問題意識を、我々行政そして司法がしっかりと、立法からいただいたそういう問題意識をしっかりと受け止めて、それを現実の業務の在り方に生かしていくということだと思いますので、引き続き、粘り強く努力をしていきたいと思いますし、その努力は裁判所とも共有をしていきたいというふうに思います。
●離婚時に父母の合意がなく裁判所が命ずる共同親権【5/16参法務・法務大臣・福島みずほ君】
もう見るのも嫌、同じ部屋の空気吸うのも嫌ということで、共同親権、共同行使できませんよね。それは明らかに困難ですよね。その困難が認められれば、片方の方が共同親権でと言われても、それはもうこちらの方が、いや、それはもう絶対こういう理由で無理ですということを説得的に言っていただければ、それを無理やり職権で共同親権にするというような運用は全く想定していません。
※参法務委附帯決議
二 法務省及び最高裁判所は本改正に係る国会審議において、特に、①合意がない場合に父母双方を親権者とすることへの懸念、②親権者変更、③子の居所指定、④過去のDV・虐待の取扱いについての対応、⑤DV・虐待のおそれに関する質疑があったことを含めて、立法者の意思に係るものとして、父母の協議や裁判所における判断に当たって十分理解されるよう、その内容の周知に最大限努力を尽くすものとすること。
十一 DV及び児童虐待が身体的な暴力に限られないことに留意し、DVや児童虐待の防止に向けて、リスクアセスメントも活用しつつ、被害者支援の一環としての加害者プログラムの実施の推進を図ることを含め、当委員会での確認事項を反映させた上で関係機関と連携して被害者の保護・支援策を適切に措置すること。また、居住地や勤務先・通学先等が加害者に明らかになること等によるDV被害や虐待の継続、SNSなどインターネット上の誹謗中傷や濫訴等の新たな被害の発生を回避するための措置を検討すること。
③「急迫の事情」「日常の行為」
●「急迫の事情」における「急迫」を「必要かつ相当」と改める必要性【5/14参法務・法務大臣・石川大我君】
これ、急迫というのは、何に比べて急ぐのかという、そういう相対的な概念なんですよね。この解釈は、ここでの解釈は法制審の議論を経たものでありますけれども、何に対して急ぐかというと、両親の協議あるいは裁判所の審判、比較的時間が掛かるものに対してそれよりは急ぐという意味で、今回のその急迫という用語は、法律用語はそういうふうな解釈の下でここに書かれています。
したがって、絶対的な基準があるわけではなくて、両親の協議あるいは裁判所の審判、かなり時間が掛かることが多いと指摘されていますけど、それを待っていたのでは適時での判断ができなくなる。学校の問題もある、就職の問題も、病気の治療の問題もあると思いますが、それよりは急ごうという場合に単独親権を認めましょうと、こういう考え方でございますので、その解釈は法制審で確認をしていただいております。また、ほかの法文の急迫という言葉との整合性も取った上での用語でございますので、是非御理解をいただきたいと思います。
●「急迫の事情」の意義及び緊急避難との異同【5/16参法務・法務省民事局長・牧山弘恵君】
本改正案の急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。この急迫の事情という文言は、現行民法においても、本来の手続を経ていては適時の権利行使に支障が生ずる場合に対応するための規定において用いられている用語であります。法制審議会家族法制部会におきましても、本改正案において急迫の事情という文言を用いることが現行民法の他の規定と整合的である旨の指摘がされまして、その解釈の内容が明確に確認されたところでございます。
なお、委員御指摘になられました民法上の緊急避難における急迫という文言は、条文上、急迫の危難として規定されているものでございまして、本改正案に言う急迫の事情と同列に論ずることは相当でないと考えられるところでございます。
●本法律案における「子の利益のため急迫の事情があるとき」の解釈【4/25参法務・法務省民事局長・友納理緒君】
子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。
急迫の事情があるときに当たるかどうかの判断においては、その子が置かれた状況や父母の意見対立の状況等、様々な事情が考慮されることになると考えております。そのため、DVや虐待から避難中であるといった事情もその考慮要素になり得るほか、緊急手術といった事情も急迫の事情に当たると考えております。
●本法律案における「監護及び教育に関する日常の行為」の解釈【4/25法務省民事局長・友納理緒君】
・ 本改正案における監護及び教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものを指しております。
・ 日常の行為に係る親権の単独行使を認めることとした趣旨につきまして、法制審議会家族法制部会では、実際に目の前で子を世話、子の世話をしている親が困ることがないように、日常的な事項については単独でできるようにすべきであるということを前提とした議論がされたところでございます。
他方で、本改正案の日常の行為の行為主体を子と同居する親に制限していない趣旨につきましては、法制審議会家族法制部会におきまして、子と別居する親権者につきましても、例えば親子交流の機会のように実際に子の世話をすることはあり得るところでありまして、そのような場合に別居の親権者が単独で日常の行為に係る親権行使をすることも想定されるといった議論がされたことを踏まえたものでございます。
その上で、本改正案におきましては、父母相互の協力義務の規定を新設し、親権は子の利益のために行使しなければならないことや父母が子の人格を尊重しなければならないことを明確化しているところでもありまして、日常の行為に係る親権についてもこれらの趣旨に沿って行使されるべきものであると考えております。
④DV避難・子連れ別居
●DVからの避難のため子を連れて転居することへの支障の有無【4/5衆法務・法務省民事局長・鎌田さゆり君】
本改正案では、父母双方が親権者である場合には、子の居所の変更を含めて親権は父母が共同して行うとした上で、子の利益のため急迫の事情があるときは父母の一方が親権を単独で行うことが可能であるとしております。
親権の単独行使が認められる、子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいいます。そのため、DV被害を受けている場合はこれに当たると考えております。
また、個別の事案にもよりますが、御指摘のモラルハラスメントについても、いわゆる精神的DVに当たる場合などには、親権の単独行使が可能な場合に当たる場合があると考えております。
そして、法制審議会家族法制部会におきましては、急迫の事情が認められるのは、加害行為が現に行われているときやその直後のみに限られず、加害行為が現に行われていない間も、急迫の事情が認められる状態が継続し得ると解釈することができると確認をされております。したがいまして、暴力等の直後でなくても、急迫の事情があると認められると考えております。
このように、本改正案は、DV等からの避難が必要な場合に、子を連れて別居することに支障を生じさせるものではないと考えております。
●子連れ別居に係る「特段の理由なく」の意義【4/9衆法務・法務省民事局長・寺田学君】
四月五日の衆議院法務委員会におきまして、父母の一方が子を連れて別居することが父母相互の人格尊重義務に違反するとかやDVに当たるかにつきましては、個別具体的な事情の下でそう判断されることがあり得ると答弁させていただいたものです。委員お尋ねの特段の理由なくというのは、例えばDVからの避難などの急迫の事情があるわけではないのにという意味で用いたものでございます。
●DVからの避難のため子を連れて転居することが別居親への精神的DVに該当する可能性【5/14参法務・法務大臣・石川大我君】
DVから避難する場合のように、これ特段の理由ですよね。子と共に転居することに相当の理由があり、またこれによって別居親の心身に有害な影響を及ぼしたとは認められない場合には、DVと評価されることはないものと考えております。
●「急迫の事情」の判断をめぐりDV被害者支援の活動が萎縮しないための配慮の有無【5/9参法務・法務大臣・川合孝典君】
DV等からの避難、これは単独親権で対応しようということであります。
したがって、本改正案では、DV等からの避難が必要な場合には子を連れて別居するということができるわけでございます。このことをより広く周知をしていく、国民の皆さんに理解をしていただく、そういう努力が必要であろうかと思います。
これ(DV等からの避難)は、婚姻中の父母についても起こり得るケースでございますよね。それが共同親権、離婚したけど共同親権の下にある夫婦の問題としてどうなのかと。それは、現状の婚姻中の父母間の問題、つまりDVがあればみんなで支援をする、守る、そして逃げていただく、子どもを守る、そういう仕組みがあるわけでして、そこと問題は全く、問題が動くということはないと思います。変わるということは、対応が変わるということはないと思います、基本的には。
DVがあるにもかかわらず、その濫訴、たくさんの無駄な訴訟を仕掛けてくるというリスクをおっしゃっているのかと思いますけれども、それに対してしっかり守りを固めるということも必要であります。
でも、それは今の婚姻中の御夫婦の間に起こっていることと変わらないわけでありますから、この法案が施行されても基本的な問題の在り方、課題の在り方、また解決方法、それは変わらないと思います。
⑤諸手続きに対する影響
●離婚後共同親権の導入がDV被害者に対する支援措置に及ぼす影響【5/9参法務・総務省大臣官房審議官・福島みずほ君】
住民基本台帳事務におきましては、DV等の被害者の相手方が住民票の写し等の交付等を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するDV等支援措置を実施をしております。
本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察、配偶者暴力相談支援センターなどの相談機関から支援の必要性を確認することといたしております。
DV等を受けた申出者が子どもとともに同一の住所に避難している場合に、申出者の相手方が当該申出者の住所を探索する目的で当該子どもの住民票の写しの交付の申出などを行うおそれがあると認める場合には、当該子どもについても支援措置を実施することとしております。
このように、現行の民法における婚姻中の共同親権の場合におきましても、申出者の相手方への住民票の写しと、写しの交付制限などのDV支援措置の措置は行われているものでございまして、今回の民法改正により離婚後に父母双方が親権者と定められた場合でも、DV等支援措置の必要性が認められる場合にはこれを実施するという基本的な考え方に変更はないものと考えております。
また、申出者の相手方が交付制限等を受ける場合につきましては、住民票の写しなどの交付決定に際して審査請求や処分の取消しの訴えが提起されることがあり得るものと考えておりますが、この場合におきましては、当該DV支援措置等が適切に運用されたか否かが問われることとなると考えております。
したがいまして、本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察等の相談機関からの意見聴取による支援の必要性の確認が重要でございまして、この点も含め、総務省といたしましては、今回の民法改正後のDV支援措置等の取扱いに関し、各自治体に対して必要な助言等を行い、制度の適正な運用に努めてまいります。
●離婚後共同親権の導入がDV被害者に対する支援措置に及ぼす影響【4/25参法務・総務省大臣官房審議官・福島みずほ君】
住民基本台帳制度におきましては、住所は、客観的居住の事実を基礎として、これに居住者の主観的意思を総合して決定するということとされております。その上で、住所に関する市町村長への転入又は転居届は、転入をした日から十四日などとの、その事実を届け出る取扱いとされております。
未成年者に係る届出につきましては、転入転出等の事実や、現に届出を行っている者の代理権等を確認し転入転出等の処理を行っておりますが、現在の婚姻中における共同親権者であっても、届出の処理に際しまして父母双方の同意は求めておりません。
今回の民法改正後における転入転出等の届出におきましても、現行の共同親権である婚姻中における取扱いと同様と考えておりまして、現行の事務の取扱いを変更することは想定しておりません。
●離婚後共同親権の場合における学校関係の手続き【4/25参法務・文部科学省大臣官房教育改革特別分析官・福島みずほ君】
転校についてお答えいたします。
今般の民法改正案を踏まえ、共同親権となり離婚後に父母双方を親権者とする場合においても、転校の手続については、婚姻中の父母が別居している場合における現行民法制度の、民法の下での取扱いと基本的に変わるものではないと認識しております。
他方、学校は、父母間の協議の状況や家庭裁判所の審判の結果等、父母間の関係について正確な情報を得られる立場にないことから、特定の父母間の関係が転校の手続の円滑な実施に影響するような場合には、現在においても、裁判所や警察、教育委員会などの関係機関との相談や情報収集を行い、個別のケースに応じて適切に対応していると承知しております。
文部科学省といたしましては、共同親権の導入後も学校においてこれまでと同様に適
切な対応が行われるよう、法務省を始めとした関係府省とも連携の上、今般の法改正の
趣旨等について、教育委員会等を通じて丁寧な周知を行ってまいります。
●学校教育法における「親権を行使する者」について【4/15参決算・文部科学大臣政務官・嘉田由紀子君】
民法改正案におきましては、離婚後の親権者に関する規定が見直されるものと承知をしておりますけれども、共同親権を選択し、離婚後に父母双方が親権者とする場合におきましても、御指摘のありました、子どもの学校生活や進路相談なども含めて、学校教育に関するものは、婚姻中の父母が別居をしている場合における現行民法の下での取扱いと基本的には変わるものではないというふうに認識をしております。
他方、学校は、父母間の協議の状況や家庭裁判所の審判等の結果、接近禁止命令の有無やその内容等を、父母の、父母間の関係について正確な情報を得られる立場にはないことから、特定の父母間の関係が円滑な学校運営に影響するような場合には、現在におきましても、裁判所や警察、教育委員会などの関係機関との相談や情報収集を行いながら、個別のケースに応じて適切に対応しているものと承知をしております。
文部科学省といたしましては、共同親権の導入の暁にも、これまでと同様に適切な対応が図られるよう、法務省を始めとした関係府省との連携の上、今般の法改正の趣旨等について教育委員会等を通じ丁寧な周知を行ってまいりたいと存じますし、現場に混乱が生じないようにしっかりと連携を図ってまいりたいと思います。
●離婚後共同親権選択の場合における高等学校等就学支援金の親権及びその所得の認定方法【4/25参法務・文部科学大臣政務官・伊藤孝江君】
親権は、親の権利のみでなく、義務としての性質も有し、子の利益のために行使しなければならないと理解されていると認識をしております。
実態上、未成年である生徒等の就学に係る経費を負担するのは保護者であり、その責任を負うのは基本的には親権者であると考えられることから、高校の授業料の負担軽減を目的とした高等学校等就学支援金については親権者の収入に基づいて受給資格の認定を行っております。
このため、父母の婚姻中は親権者が二名となることから、親権者二名分の収入に基づき判定を行い、父母の離婚により親権者が一名となれば、その一名分の収入に基づき判定を行うこととなります。
高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定を行っておりますが、親権者に就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には、受給資格の認定に当たってその親権者の収入は含めないこととしております。
現行の仕組みにおきましても、父母が離婚協議中であり別居中である場合で、例えば親権者の一方に課税証明書等の提供を求めたが応じてもらえない場合などについては、受給資格の認定に当たってその親権者の収入は含めないものとして、事務処理要領においてお示しもしているところです。
具体的な判定につきましては、認定を行う都道府県等において個別のケースに応じて柔軟に判断することとなりますので、引き続き都道府県等と連携をしながら適切な認定事務に努めてまいります。
●学校から別居親に対する子どもの個人情報の提供【5/9参法務・文部科学省大臣官房学習基盤審議官・福島みずほ君】
別居親に対する子どもの個人情報の提供については、個人情報保護法等の関係法令に基づいて適切に対応する必要があります。また、学校は、被害者からDV避難について申告があった際には、情報管理を徹底することが求められます。
今般の民法改正案においては離婚後の親権者に関する規定が見直されるものと承知しておりますが、共同親権となり離婚後に父母双方を親権者とする場合においても、御指摘がありましたように、子どもの個人情報の提供については、婚姻中の父母が別居している場合における現行民法下での取扱いと基本的に変わるものではないと認識しております。
他方、学校は、父母間の協議の状況や家庭裁判所の審判等の結果等、父母間の関係について正確な情報を得られる立場にないことから、現在においても、裁判所や警察、教育委員会などの関係機関との相談や情報収集を行い、個別のケースに応じ適切に対応していると承知しております。
文部科学省といたしましては、共同親権の導入後も学校においてこれまでと同様に適切な対応が図られるよう、法務省を始めとした関係府省とも連携の上、今般の法改正の趣旨等について、教育委員会等を通じて丁寧な周知を図ってまいりたいと思います。
●離婚後共同親権の導入による児童手当への影響の有無【4/25参法務・こども家庭庁長官官房審議官・福島みずほ君】
児童手当ですけれども、例えば、父母が離婚をしまして、又は離婚協議中で別居しているような事実が確認できるときには、生計を維持する程度の高さにかかわらず、子と同居している方が受給者というふうになりますし、また、離婚等をしていない場合であっても、例えば現在受給をしている者からのDV被害等を受けて児童手当の支給先の変更を被害者が求めるような事例というのが考えられますけれども、受給者からのDVによって子の監護に著しい影響が生じていると認められるような場合は、監護の実態を欠くものとして、住民票上の住所等にかかわらず、児童手当の支給先を、実際に監護を行っている、この場合であればDVの被害者の方ということになりますので、そういった取扱いは、現在もそうですけれども、今後も変わることはございません。
●保育所の入退所手続きは子どもを現に監護する者のみで行うことができること【4/25参法務・こども家庭庁長官官房審議官・福島みずほ君】
保育所の入退所に関する手続につきましては、子ども・子育て支援法で、保護者が市町村から保育の必要性認定を受けた上で保育所の入所、入退所の申請を行うというふうになってございます。また、同法において保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者というふうに定義をしているところでございまして、結論といたしましては、保育所の入退所の手続は、子どもを現に監護している者のみによって行うことができます。
●黙示の同意と医療【4/25参法務・法務省民事局長・友納理緒君】
親権を共同して行うことには、例えば、父母の一方が他方の親の同意を得て単独名義で親権の行使をする場合も含まれておりまして、この場合の他方の親の同意は黙示的なものもあり得ますが、このことは現行法の婚姻中の場合でも同様であると考えております。
どのような場合に黙示的な同意があったと評価されるかにつきましては、個別具体的な事案に即して判断されるべき事柄でございますが、医療機関としては、例えば、父母を通じて他方の同意を得るように促すとともに、父母の一方が他方に対して連絡をしたにもかかわらず相当な期間内に何ら応答しない又は明示的に反対しない場合などでは黙示の同意があったと評価され得ると考えております。
●口座開設と黙示の同意【5/9参法務委・法務省民事局長・川合孝典君】
預金口座の開設のような財産管理につきましては、監護又は教育に関する日常の行為とは言い難く、父母が共同して親権を行うこととなると考えます。
もっとも、このことは預金口座の開設をするためには必ず父母双方の署名押印が必要であることを意味するものではなく、父母の一方の署名押印をもって他方の黙示的な同意を推定することができるとして取り扱われることが現行法の下でも一般的であると承知をしておりまして、このような取扱いについて特に変更が求められるものではないと考えております。
⑥共同養育計画・親講座・親子交流
●共同養育計画、養育講座に係る留意事項【5/16参法務・法務省民事局長・福島みずほ君】
(福島みずほ君 共同養育計画なんですが、外国で結構細かく規定しているというのは理解しています。ただ、子どもも成長するし、サッカーの試合があるとか部活をやっているとか習い事しているとか、子どもも今日びの子どもは忙しいわけですよね。その場合に、がちがちに、夏休みはお父さんのところに何日間行くべしとかあると、子どもの生活、人生そのものが物すごく拘束されるという危険性があります。また、親講座、親ガイダンスも、私は重要なこともあり得ると思うんですが、一方で、我慢しなさいとか、子どものためにやっぱり共同親権がいいですよみたいな形である種の家族像を押し付けられるというふうな危険性もあると思います。その点についていかがでしょうか。)
法務省におきましては、法学者や心理学者の協力を得まして、離婚後養育講座の調査研究を実施してきたところでございます。この調査研究におきましては、協力いただいた研究者等から、DVやハラスメント等のある事案については講座の内容が必ずしも当てはまらないケースもあり、個別具体的な事情に即した対応がより重要であるとの指摘もされたところでございます。
こうした指摘も踏まえまして、引き続き、適切な養育講座の在り方について関係府省庁や地方自治体等と連携して検討したいと考えております。
※参法務委附帯決議
八 父母による子の養育が互いの人格の尊重及び協力関係のもとで適切に進められるよう、父母の一方及び子に不相当な負担や心理的負荷を生じさせないことを確保しつつ、離婚前後の子の養育に関する講座の受講や共同養育計画の作成を促進するための事業に対する支援、ADRの利便性の向上など、関係府省庁及び地方公共団体等と連携して必要な施策の検討を図ること。
●親子交流における子どもの安全確保に係る法務省の取組【5/16参法務・法務省民事局長・石川博崇君】
これまでに親子交流中に別居親が子や同居親に危害を加えるという事件が発生していることは報道等により承知をしているところでございます。親子交流につきましては、安全、安心な形で実施されることが子の利益の観点から重要でありまして、法制審議会家族法制部会におきましてもこのような観点から検討が重ねられてきたところでございます。
本改正案では、適切な親子交流の実現のため、裁判所が裁判手続中に事実の調査のため、当事者に対し、親子交流の試行的実施を促すことができる仕組みを設けることとしております。これにより、調停手続や審判手続において試行的に親子交流を実施し、その状況を調整判断の資料とすることが可能となりまして、安全、安心な親子交流を適切に実現することに資すると考えております。
また、法務省では、民間の親子交流支援団体向けの参考指針の作成や親子交流支援団体の周知を行うなどしておりますが、参考指針には、安全、安心な親子交流を確保するためのトラブル対応に関する指針が盛り込まれております。
今後も、安全、安心な親子交流の実現に向けまして関係府省庁と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
●親子交流における子どもの安全確保に係るこども家庭庁の取組【5/16参法務・こども家庭庁審議官・石川博崇君】
一般論ではございますけれども、離婚後も適切な形で親子交流が実施されると、これは子どもの立場からも望ましいことではございますが、一方で、児童虐待やDVなどといったような経緯があって、親子交流の支援に当たって安全かつ安心な親子交流が実施できるようにという観点からは十分に留意することが必要なこともあると、そういったケースもあるというふうに考えてございます。
そこで、親子交流支援事業の実施に際しましては、安全かつ安心な親子交流のために、この実施要綱の中で、暴力行為や子どもに対する虐待行為を行うおそれのある者、あるいは子どもの連れ去り、あるいは連れ去りを企図するおそれのある者については本事業の対象としないこと、事前の面談に際して父母双方に対して実施をいたしまして、この当事者双方の合意の下で支援計画を具体的に作成をしていくこと、子どもの連れ去り又は虐待行為のおそれがある場合には支援を中止し、子どもの安全の確保に十分に配慮すること、関係機関の連絡など必要な支援策を講ずることなど、安全、安心を確保するための取組についてもお示しをしているところでございます。
親子交流の安全かつ安心な実施に当たりましては、法務省の取組とも連携をしながら、引き続き安全かつ安心な交流となるようにこの事業の充実にも努めてまいりたいと考えてございます。
⑦リーガルハラスメント/アビューズ
●本法案により生じるリーガルハラスメントの危険性【5/9参法務・法務大臣・仁比聡平君】
濫用的な訴え、申立てに対する不安の、こうした不安の声があることはよく承知をいたしておりますが、これによってDV被害者の方への支援が滞るようなことがあってはならないと思います。様々な手段を講じて子どもたちを守っていく、そういう努力は引き続き行っていく必要があると思います。
●【5/14参法務・法務省民事局長・山添拓君】
あくまでも一般論としてお答えすれば、個別具体的な事情によるものの、自己の主張が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながらあえて訴えを提起した場合など、訴えの提起が裁判制度の趣旨、目的に照らして著しく相当性を欠くときは、訴えの提起それ自体が不法行為に該当し得るものと承知をしております。
このような考え方は、裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう配慮しつつも、訴えの提起自体が相当でないケースにおいては裁判所がそのような判断を示すことができるとするものでありまして、嫌がらせ的な訴えの提起等に対する抑止力になると考えております。
法務省といたしましては、こうしたことを適切かつ十分に周知することによりまして、子の利益を害するような濫訴を可及的に防止するとともに、父母間の人格尊重義務の違反があった場合に適切に対応することができると考えております。
●濫訴的な調停・審判申立てについて【5/9参法務・法務省民事局長・仁比聡平君】
何が濫訴に当たるかを一概にお答えすることは困難ではございますが、家事調停の申立てにつきましては、現行の家事事件手続法におきましても、不当な目的でみだりに調停の申立てがされた場合に、調停手続をしないことによって事件を終了させることができ、この場合にはその申立書の写しを相手方に送付しないことができるなど、一定の対応がされているところでございます。また、家事審判の申立てにつきましても、家事審判の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときはその申立書の写しを相手方に送付しないことができ、一定の対応がされております。
濫用的な親権者変更の申立てがされた場合も含め、こうした対応の活用が可能であることは法制審家族法制部会における議論の過程でも確認されておりまして、そのこと自体に特段の異論はなかったところでございます。
●暴力、暴言、濫訴等と人格尊重義務【4/2衆法務・法務大臣・道下大樹君】
御指摘のとおり、本改正案では、親権の有無や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は、子の養育に関し、子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないとされております。
どのような場合にこの義務に違反したと評価されることになるかは、個別具体的な事情に即して判断されるべきであるとは考えますが、あくまで一般論として申し上げれば、暴力、暴言、濫訴等は、この義務違反と評価される場合があると考えております。
●濫訴と協力義務違反【4/2衆法務・法務大臣・道下大樹君】
何が濫訴に当たるかについて一概にお答えすることは困難でありますが、現行法においても、不当な目的でみだりに調停の申立てがなされた場合には、調停手続をしないことによって事件を終了させる、こういう規律などがございます。
また、本改正案では父母相互の協力義務を定めておりますけれども、不当な目的でなされた濫用的な訴え等については、個別具体的な事情によってはこの協力義務に違反するものと評価されることがあり得る、このことがそのような訴え等の防止策になると考えております。
⑧DV加害者の認知の歪み、人格尊重・協力義務
●DV加害者の認知の歪み【4/25参法務・法務大臣・石川大我君】
(石川大我君 DV加害者の認知のゆがみですけれども、DV、虐待加害者に認知のゆがみがあり、加害の事実や加害性を否認し、むしろ自分は被害者なんだと被害者意識を抱く方もいると聞きます。一方、被害者側が被害者であるというふうに認識できず、暴力を受けDVであると認知していても、自分が悪い、自分に原因がある、相手が正しい、相手の愛情だというようなケースも散見されますが、そのような加害者や被害者の心理と行動について、法務省として具体的に手当て考えていますでしょうか。)
法制審議会では、DVが問題となる事案においては、その加害者や被害者の認識に客観的事実と大きな隔たりがある、そういうケースがあることを十分認識した上で議論が進められたと承知をしております。
また、本改正案では、例えばDV等のある事案では、裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないと規定するなど、DVのある事案にも適切に対応する内容となっており、裁判所において、当事者双方の主張、立証を踏まえて適切な審理が行われるものと承知をしております。
本改正案を円滑に施行し子の利益を確保するためには、DV等を防止して安全、安心を確保することが重要であり、法務省としては、本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、円滑な施行に必要な環境整備等について関係府省庁等としっかりと連携を行い、適切に取り組んでまいりたいと思います。
●DV加害者の認知の歪み【5/14参法務・内閣府官房審議官・石川大我君】
配偶者からの暴力は、加害者に加害の意識が薄い傾向にあり、被害が深刻化しやすいという特性がございます。また、加害者は、自らの行為を正当化する場合や、自らが被害を受けているとの認識を持つ場合があることも指摘されております。被害者からの相談対応をする職員においても、こうした加害者の特性等を十分理解した上で対応に当たる必要があると考えております。
●誹謗中傷等と人格尊重義務【4/9衆法務・法務大臣・寺田学君】
・ これは、やり取りの中でぽっと口をついて出てしまう場合はあると思うんですよね。ですけれども、それが繰り返し、他者に対して誹謗中傷、人格否定、こういった言動が繰り返されるような場合には、やはり共同して親権を行うことの困難性に該当してくると思います。
・(寺田委員 いや、大臣、ぽっと出ても駄目ですよ。あんたね、あんたなんて犯罪者だよと言われたら、それは言われた側にしてみれば、言った側はぽっと思わず言ってしまったと言うのかもしれないですが、言われた方にしてみれば、犯罪者だと言われることというのは物すごい大きいですよ。
なので、ぽっとでも駄目ですよ。やはり私は、相手を犯罪行為を犯しているぞと言うような関係は父母相互間の人格尊重義務を損ねていると思いますが、改めて、答弁、どうですか。)
その御夫婦の日頃のコミュニケーションの在り方、関係性の在り方、そのニュアンス、その言葉が出た状況、総体によりますよね。よります。と思います。
多くの場合は先生がおっしゃるとおりかもしれません。でも、一〇〇%、全部、常に、その隙間がやはり残ると思いますね、その全体の状況性において判断するべき部分は残ると思います。
・(寺田委員 日々、日常からお互いを犯罪者と罵り合っているような方々がいるのかどうか私は分かりませんけれども、やはりそれは、離婚をする中において、相手に対して一方的に犯罪行為を犯したと決めつけた言動をするのは、私はもうこの人格尊重義務を失っていると思うんですね。
その意味において、今までは、子連れで別居することに関して、理由があって別居していることに関して、略取誘拐だというふうに一方の親を罵る、まあ、罵っていない、指摘でもいいですよ、相手を犯罪者、犯罪を犯している人だ、あなたのやっていることは犯罪行為だというふうに一方的に言い、それをまた対外的に、ソーシャルメディアでも結構ですし、友人に対してでもそうですけれども、相手に対してその理由自体の存否を確認するまでもなく、及び、確認したとしても一方的に相手に略取誘拐なのだというふうに言っているような方は、私は、今、前段で一般論とお話しいただいた人格尊重義務を損ねていると思いますけれども、大臣、どう考えますか。)
あくまで一般論として申し上げれば、そのとおりだと思います。
●フレンドリーペアレントルールとDV主張【4/2衆法務・法務大臣・道下大樹君】
フレンドリーペアレントルールは、これは様々な意味で用いられているため、一義的にお答えすることは困難でありますけれども、御指摘の規定、これは、子の養育に当たっては、父母が互いに人格を尊重し協力して行うことが子の利益の観点から望ましいと考えられることから、父母相互の人格尊重義務や協力義務を定めたものであり、DVや虐待の主張をちゅうちょさせるものではないと認識しております。
2. 「連れ去り」「偽装DV」に係る答弁の正確な表現について
●子連れ別居等がDVに該当する場合【4/5衆法務・法務省民事局長・三谷英弘君】
まず、お尋ねの前段の部分でございますが、無断で子どもを転居させ、特段の理由なく別居親と一切交流させないというような場合は、個別の事情にもよるものの、これにより心身に有害な影響を及ぼしたと認められる場合にはDVに該当する可能性もあり得ると考えられます。
後段についてですが、本改正案では、先ほど申し上げましたような夫婦相互の人格尊重義務や協力義務を規定しているところでございまして、お尋ねのような行為は、個別の具体的な事情によりましては、この義務に違反すると評価される場合があるものと考えられます。
また、本改正案によれば、親権者の指定の裁判においては、子の利益のため、父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないとされておりまして、これらを踏まえ、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、親権者の判断におきましては、父母の一方が子の養育に関する責任をこれまで十分に果たしてきたかや夫婦相互の人格尊重義務や協力義務を遵守してきたかも考慮要素の一つであると考えられます。
●いわゆる偽装DVに対する法務省の認識及び今後の対応方針【5/14参法務・法務大臣・音喜多駿君】
裁判手続において、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でDVを受けたかのように偽装して主張する場合がある、今、虚偽DVですか、こういう批判があるということは承知をしております。
しかし、これ、裁判手続において、裁判所も一方的な、一方の当事者の主張だけで判断するわけではございませんので、反対の意見も双方からまた聞いて、そして、公平公正な立場から裁判所において具体的な事情に即して判断されるべきものであり、また判断されるというふうに我々は考えております。こうした事案がある、こうした現象があるということはしっかり視野に入れておきたいと思います。
●共同親権者である父母の一方が正当な理由なく子を連れ去る行為と本法案の関係【5/16参法務・法務省民事局長・清水貴之君】
本改正案におきましては、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしており、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が何ら理由なく、すなわち急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は、個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価され得ると考えております。
そして、これもあくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定、変更の審判において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。
●離婚後共同親権の導入による子の連れ去り事案の減少の見込み【5/14参法務・法務省民事局長・古庄玄知君】
子どもの奪い合いという中身にもよるのかと思いますが、現行民法下では離婚後は単独親権ということになりますので、その親権争いを自己に有利に進めるという目的で子を連れ去っているのではないかという指摘があるというふうな認識をしております。
本改正案でございますが、離婚後も、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができるということにしておりますので、その親権争いを有利に進めるという目的で子を奪い合うあるいは連れ去るというようなことについては一定の効果が見込めるのではないかと考えておるということでございます。